| ESSAY |
| 多様な海外体験通し考える習慣養いたい |
| 代々木ゼミナール教科編集部国語科課長 土生昌彦 |
帰国生にとって最も不安を感じる科目は小論文といってよいでしょう。「作文とはどこが違うのか」「自分の文章力で大学入試に通 用するのか」――毎年、帰国したばかりの受験生の顔はそのような不安でいっぱいです。 結論からいえば、そのような生徒も予備校での実作練習を含めた授業を通 して、志望校に次々と合格していくのですが、もう少し時間の余裕があれば、さらにレベルアップが可能だったのに、という生徒も少なからずいます。ここでは海外滞在中にあらかじめ理解しておいてほしい事柄、考えておきたいテーマについて述べたいと思います。 帰国生入試の小論文の特徴としてまず挙げられるのは、「海外経験をふまえて〜について自分の意見を述べなさい」という設問形式が多いことです。与えられるテーマは「異文化理解」「国際化」「地球環境問題」「教育」「日本論」など、さまざまですが(ちなみにこれらのテーマは例年、帰国生入試の出題頻度のベスト10に位 置するものです)、それらを海外経験を通してどのように考えるかが問われているということです。 それではこのような問題にはどう対処すればよいのでしょうか。アドバイスとしては「海外生活でなるべく自発的に多様な経験を積んでおくこと」ということが言えます。 現在の帰国生入試は、海外滞在中にまで細々とした受験知識、受験技術の習得を強いるものではありません。しかし、海外でただ漫然と過ごすだけで、実りのある活動をしてこなかった生徒でも楽に乗り越えられるほど甘いものでもないのです。先に挙げた「海外経験をふまえて」という但し書きには、1:海外での経験を大切にすること、2:その経験を通 してものを考える習慣をもつこと、3:人の意見の受け売りではなく、オリジナリティのある自分の意見をもつべきこと、という大学側のメッセージが込められていると考えるべきでしょう。 海外での経験の意味をじっくりと考える作業は、日本に帰ってからでも十分間に合います。でも、経験そのものの不足、乏しさを日本に帰ってから補うことはできません。学校生活、地域社会とのつながり、ボランティア活動など、小論文のテーマは今の皆さんの身近な暮らしに密接なつながりをもっています。まずは、日々の活動を充実させること、その中で考える習慣をもつことを心がけてほしいと思います。 滞在国と日本の新聞を読み比べ もうひとつ、海外で習慣として身につけてもらいたいことは「新聞を読むこと」です。できれば滞在国と日本の新聞、両方に目を通 してください。新聞を読むという作業は大学受験に際しての最低条件と考えていいと思います。新聞は社会の動きを映し出す鏡の役割をするものです。社会がどう動き、どのように変化しているか、そのことに関心を抱かない生徒を大学側が高く評価することはありえないでしょう。さらに滞在国と日本の新聞を読み比べることで、文化比較の目を養うこと、物事を多角的にとらえる姿勢を身につけることが可能になります。 皆さんの中には日本から離れていることをマイナスの条件と考えている人もいるかもしれませんが、文化比較や日本を客観的にとらえる上では、日本との距離はむしろプラスに転化しうるのです。帰国受験をのびのびとクリアーするためには、このようなポジティブな考え方をすることも大切です。さらに文章力をつけるためには、新聞の社説を200字程度で要約する訓練を積むことも効果 的です。 代々木ゼミナール帰国大学受験コースでは、海外での多様な経験と自分なりの考えを持ち寄り、互いの考えを磨きあい、高めあう場を皆さんに提供しています。 |
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