| ESSAY |
| 自分を信じて感性を大事に |
| 株式会社JALウィング勤務 村井 大介 |
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● 個性を発揮するということ 皆さんは今「自分」のことをどう考えていますか? 皆さんは日本以外の海外で教育を受けている(た)と思いますが、いずれ日本に帰り日本社会の中に自分を置いてみようかという考えを持っていることでしょう。具体的にイメージが湧かないなど、色々と考え、また不安なこともあるでしょうが、心配することはありません。決めるのは自分なのですから。 私は、いわゆる「帰国子女入試」で試験を受けて大学に入学しました。そしてその後すぐ気付いたことがあります。それは、「帰国子女という個性は存在しない」ということです。即ち、自分は「帰国子女」というカテゴリーに入る「入学試験」を受けた身ではありますが、それは入学するまでのことで、大学の中では「自分」によって評価が決まる、ということです。われわれは語学については少しのアドバンテージを持っているでしょう。確かに日本は語学的な意味での先進国ではありません。しかし皆さんにひとつ必ず忘れないで頂きたいのは、日本の社会に身を置く以上、語学はあくまでツールであり、表現の主体は「日本(語)」であるということです。 ● 日本に帰る、ということ 今私は航空会社に勤務して、今は現場の空港で業務についています。航空会社においては、社外への発信文書はもちろん、社内発信においても英語が多用されます。一見「帰国子女」に有利に思えるかもしれません。日本人ではない国籍の同僚も数多くいます。しかし私の会社は日本の会社です。上司に何かを提案したり、他の部課に要求をするときなど、やはり『日本語力』が大きな比重を占めてきます。すなわち、どんなにすばらしい発想や企画を持っていても、それを他の人に伝えられなければ意味がないのです。これは大学に入っても同じです。皆さんは何を持って大学に入ろうとしていますか? 入学してみたら、私の周りにはいろいろな『タレント』を持っている学生であふれていました。それは頭の良さなどではなく、その個個人の持っている個性でした。皆さんの中には日本について色々な情報を持っている人も多いでしょう。中には「日本の大学生はあまり勉強をせず、遊んでばかりいる」とか、「入るのは難しいが、日本の大学は卒業するのは簡単だ」などと思っている人がいるかもしれません。私の経験からも、それらは事実と言えるでしょう。しかし、事実のすべてではない、ということを断言しておきます。皆さんはいわゆる「異文化」の中で暮らしてきて、それでいてまだ「日本」に興味を持ちその中に入ろうとしている。ある程度「日本」という世界に興味や希望を持っている人達であると思います。ですから、ほんの少しの行き違いや断片的な情報に惑わされないで欲しいのです。 私は皆さんに『言葉』を通して得ることのできた『知識』や『経験』を通して自分の個性に磨きをかけて欲しいと思います。そしてバランス感覚を身に付けて、『日本』というフィールドで発信して欲しい。それが日本の学校で『帰国子女』を受け入れる大きな理由です。日本の今のあり方に一石を投じるような気概を以ってチャレンジして欲しいと思います。 ● ツールとして「語学」を活用する さて、先ほど私は、語学はあくまで『ツール』である、と書きましたが、それに頼らないで欲しいのです。今の世界を見ると、色々な紛争やつまらぬ争いは殆どが相互理解の欠如から起きています。ただうわべだけで『言葉』がしゃべれるようになることは誰にでもできます。しかしその違った世界の中に身を置いて、そしてその肌で感じた生の感触を外の人に伝えられるという稀有な立場にある自分を、最大限に発揮して欲しいと思います。人のことがわかる人間になって欲しいと思います。私はみなさんの、そういったバランス感覚に大いに期待します。 好むと好まざるとに関わらず、皆さんはいわゆる普通の日本人とは違う立場に身を置いています。そのような体験は、皆さんが思っている以上に貴重なものとなっていくでしょう。しかし心配は要りません。なぜなら皆さんには海外生活をやりぬいた経験、自信と物事を客観的に判断するバランス感覚があるのですから。自分を信じて、一歩一歩進んで欲しいと思います。 |
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