ESSAY

海外生活で得たもの 〜人との関わりを大切にして〜
代ゼミ帰国生OB 三越勤務 阿部由希子
1〜高3までアメリカオハイオ州に滞在。代ゼミ帰国生コースを経て、上智大学文学部教育学科入学。在学中代ゼミチューターとして生徒指導に携わる。現在、(株)三越に勤務。

● 人とのつながり
 私が今の仕事を選んだ理由。それは、「人とのつながりのある仕事」をしたかったからです。百貨店には毎日不特定多数のお客様が来ます。年齢層性別も様々、買い物をしに来る人、ただ通るだけの人と目的も人によって違います。そのような人の流れを毎日自分の目で見て、その人に合わせた接客をし、たくさんの会話をする事で変化のある生活を送ることが私の仕事のやりがいだと感じています。お客様の中には、わがままな人、気難しい人、優柔不断な人と色々いますが、日々の経験を積む中で、どのような人に対しても臨機応変に対応できる力を身に付けられた気がします。いい意味で「人を見る目」がついたのかもしれません。そして人と多く接することで、人に対しての興味が以前よりさらにわくようになったのです。


●ものとのつながり
 このような様々な人との関わりの中で、お客様が、ものを買いたい空間、そして楽しめる空間を作ることが私の最大の仕事となってきます。百貨店の中での商品選びは、常に先のシーズンのものを見ていく必要があります。つまり、初夏の頃にはすでに冬物の商品選びをしているということです。昨年はどのようなものが売れていたのか分析し、今年のトレンドやコレクションの情報をもとに取引先(メーカー)に商品選びに行きます。一つのアイテムでも5,6社のメーカーとの取引があるので、各メーカーの営業とよく話をし、売りたいものを決めていきます。それから自分の売場内で、どのように商品を並べ、どのようなイベントをやるのか自分自身で考え、提案していきます。常に新しいものを見る目を持ち、先へ先へと行動できる力を持つよう心がけているのです。様々な結果やデータ、情報をもとに商品を選んでも時には気候や、お客様の心理によって売れない時もあります。そのような場合でも、常に前向きに考え、商品の並べ方を変えてみたりなど工夫をしながら仕事を進めていきます。


●海外生活で感じたこと・得たもの
 様々な人と臨機応変に関われる力、新しいものを見る目を持ち、前を向いて行動する力、そして人との関わりが好きであるという心。この3つの力を日々の仕事経験の中で私は活かしています。この3つの力は、私が海外生活で得たものであるのです。

 日本の高校に入学してから数ヵ月後、父親の転勤で急遽渡米することになった15才の夏。思春期を迎え、自己形成がある程度できている段階で新しい世界に入りこむのはとても勇気がいり、不安だらけでした。言葉を理解することも出来ず、ただこの場にいる現状を受け入れることしかできない自分がいました。そんな中、自分の好きな事(音楽)で自分をアピールし、新しい環境に少しずつ慣れようと心がけていったあの頃。私はとてもがむしゃらに前を向いていたように思います。そして少しずつ友達が増え、学校生活に溶け込んでいったのです。自分の存在を自分で努力して周りに伝えたこと、そしてその上でたくさんの人との関わりが持てたこと、さらに異文化という貴重なものを経験できたこと。こういう過程を経たからこそ、私は人間が好きであり、人とのつながりを大切にしたいと思えるのです。


●帰国生へ
 異文化の中で生活すること。これは私達帰国生の特権であると思います。貴重な時間を何となく過ごすのではなく、何かしら小さな事でも感じながら生活して下さい。異なるものと接する時、必ず何かを感じ、考え、自分なりの思いを積み重ねてほしいと思います。

 社会に出て大きな組織に入ると、良くも悪くも自分の意見が思うように伝わらなかったり、自分の失敗が上司の失敗と大きなものになったり色々なことがあります。社会に出て3年目。学生時代は自分の好きなことを好き放題やっていたなと懐かしい時もあります。学生時代にしか出来ない事、やりたい事はたくさん経験し、是非皆さん自分自身を高めていってください。



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