ESSAY

自分を信じて自分らしさを大切に
          代々木ゼミナール アトランタオフィスマネージャー
 新井恵美子
小5から高校卒業まで、父親の海外赴任のため米国に滞在。代ゼミ帰国受験コースを経て横浜国立大学に入学。今年大学を卒業後、アトランタオフィスマネージャーとしてアトランタに赴任。


● 帰国生であるということ
 帰国後、帰国入試を経て、私は日本の大学に入学したわけですが、自分が帰国子女であることを本当に意識させられたのは、大学に入学してからでした。 

大学に入ってから、自分が帰国子女であることを告げると、良くも悪くも周りの反応は大きく、自分自身が海外生活をしたことをそれ程重大なことと感じていなくても「帰国子女だなんてスゴイね、羨ましい」「英語が話せてかっこいい」と言われることがありました。そう言われるといつも複雑な気持ちになったのをよく覚えています。誉め言葉であるのに素直に喜べなかったのは、言葉の裏側に「でも帰国子女は協調性がないし、英語が話せることを鼻にかけている感じがする」というマイナスなイメージが含まれていることをかすかに感じとってしまったからかもしれません。自分の経験からして、以上のようなイメージを一部で持たれていることはどうも事実らしく、そう思われる背景には、どちらかというと自己抑制が好まれる日本では、帰国生は自己主張し過ぎるように感じられてしまうからかもしれません。


●自己主張すること、自己抑制すること
 私は、アメリカでは自分を主張すること、日本ではある程度周りと合わせて協調性を大事にすることを学びました。そして、この二つは、とても生きていく上で大切なことだと感じています。郷に入っては郷に従え、という言葉がありますが、どの場所に住んでも、どの国に住んでも、その環境に適応するように努力することはとても大切ですし、その環境に慣れ親しむほど、自分の毎日の生活を楽しいものにすることができると思います。また、その場所を知れば知るほど、新たな発見があるかもしれませんし、新たな発見が自分の視野を広げるキッカケになるかもしれません。このようなことは、海外で生活している皆さんは、もう既に経験され実感されていることと思います。海外で住むということは、異文化適応が否応なしに求められるからです。 私は、人は結局いくら環境を変えても、その人自身が変わらなければ何も変わらないと思っています。どこにいても、どの国で暮らしても、「自分」によって評価は決まります。これから日本に住むことになる皆さんも、帰国後、日本への再適応に悩むことがあるかもしれませんが、なるべく日本の環境に慣れ親しんで、様々な経験をしてほしいと思います。そして、その経験から、たくさんのことを感じて、たくさんもがいて、自分のスタイルを確立していってもらいたいと思います。 主張すること、自分を抑えること、そのバランス感覚を海外で暮らしている皆さんは自分でも気づかぬうちに自然と身につけていると思います。そのバランス感覚は、皆さんが海外経験によって得たもので、大切な皆さんの財産です。自分が海外で暮らした経験は、帰国後も様々な場面で皆さんを助けてくれることでしょう。日本の大学に進む皆さんへ私は、大学に入ってから、優れた才能を持つ人達にたくさん出会いました。それは、ただ単に頭が良いと言う意味ではなく、この人のこの部分には自分は優ることはできないと心の底から思えるような人達でした。そこで改めて気づいたのは、人と人は違うし、それぞれの良さがあるということでした。そして、このことは、私が、様々な人種が暮らすアメリカでの生活で日々感じていたことでもありました。人にはそれぞれの良さがあり、「みんな違ってみんな良い」ということを再度気づかせてくれた大学の恩師、友人達には、本当に感謝しています。今年大学を卒業し思うことは、大学時代ほど自分の好きな分野の勉強が思いっきりできる贅沢な時間はないということです。皆さんの中には、まだ進路に迷っている人も多くいると思います。しかし、大学は、義務教育ではなく学びたい気持ちのある人が自分の意志で行く場所ですから。自分の興味・関心があることが何なのか滞在中にじっくり考えて将来のことを決めてほしいと思います。何も恐れることはありません。皆さんが自分で考え納得した答えを出す、ただそれだけのことなのですから。 海外生活をやりぬいた経験がある皆さんなら、きっと大学受験も乗り越えられるはず。自分を信じて頑張ってください。



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