| ESSAY |
| 欧米か?! |
| 代々木ゼミナール帰国受験科英語講師 大島 昇 |
●今流行のツッコミ タカアンドトシという最近流行の漫才コンビをご存知でしょうか。数年前から若者の間でブレークして、今ではテレビのバラエティー番組や情報番組の出演回数も多く、広く受け入れられつつあるようです。 彼らの典型的なネタの一部を紹介します。久しぶりに会った友達に握手を求め、さらにハグしようとするボケ側に対して、ツッコミ側が「欧米か?!」とツッコミを入れて会場は爆笑。続けてボケ側が「今夜うちでパーティーがあるんだ」と言うとツッコミ側が相手の頭をはたきながら「欧米か?!」と言って会場は大爆笑という具合です。もうおわかりのように、「欧米か?!」というのがこのコンビの決め台詞で、これで笑いを誘います。では、なぜこの台詞で日本人は笑うのでしょうか。 ●笑う理由 日本人は日常生活レベルでは、その場のオピニオンリーダーや多数派の考え方や物事のやり方を「常識」や「当たり前のこと」とし、少数派の考え方や物事のやり方を「非常識」「変なもの」として排撃する傾向があります。こうしてその場にいる人は皆同じ常識に従って行動するようになり、日本の平穏な日常が守られていくわけです。 欧米流の行動の仕方は日本の常識から多少外れた「非常識」であり、侮蔑や排撃の対象になります。「欧米か?!」という表現は「日本の常識から外れているぞ」ということの合図であると同時に、非日本的(つまり非常識)なものに対する軽い攻撃でもあるのです。日本人が「欧米か?!」で笑う理由を極論すれば、@非常識=滑稽だからであり、A非常識に対する嘲笑であり、B非常識に対する排撃がなされた結果平穏な生活が守られたという安心感からであり、C自分が多数派にいることの喜びから笑うのでしょう。 ●大ベテランもパクッている ここで注目したいのはベテランの落語家が時折このギャグを使っていることです。「笑点」というテレビの長寿番組に「大喜利」というコーナーがあります。これは大半が50・60歳代の落語家たちが、出されたお題に対し即興で回答するというものです。このコーナーでオチとして「欧米か?!」が使われることがあるのです。出演者たちは皆ベテランですから、自分の客(日本の一般大衆)の心理を十分に理解し、その代表者としてこのギャグを使っているのでしょう。また、観覧者も(そしておそらくテレビを見ている視聴者も)年齢層は決して低くはないのですが、典型的な巷の日本人ではないかと思われます。つまり、ごく普通の日本の人たちが「欧米か?!」に大爆笑するのです。 このことと、「欧米か?!」が元々若者に受けたことを考え合わせると、年齢層に関わりなく大半の日本人は「欧米か?!」に笑うことになり、その結果この表現の裏にある考え方を肯定ないしは是認していることになります。 ●そこで帰国生は まとめますと、日本では、日常生活の中で欧米的な価値観や行動様式に従って行動することは非常識かつ滑稽なことであり、場合によっては侮蔑や排撃の対象となります。また、たいていの日本人はそのような考え方を持っており、「欧米か?!」に爆笑することにそれが現れているのです。 さて、最後に、帰国生諸君!この現状にあって諸君はいかに行動すべきなのか。何を言ってもやっても相手の反応は「欧米か?!」。帰国生としていかにこの日本の社会を生き抜いてゆくつもりなのか。今一度よく考えてほしい。そして、日本社会の壁に突き当たったら、自分なりに深く考えてください。それでも、辛かったら私のところに相談に来てください。大島 “鬼軍曹” 昇がキチッと対応します。 |
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