ESSAY

目指せ「自分色を持った帰国生」
          日本政策投資銀行勤務
岡本 晃
父親の海外勤務のため、小学生時代にエジプト3年間、高校時代にイスラエル3年間の合計6年間の海外滞在。代ゼミ帰国コースを経て、一橋大学経済学部に入学(在学中は代ゼミ帰国コースのチューターも経験)。現在、日本政策投資銀行都市開発部で勤務。

●私と日本
 「私は海外滞在経験から自分の日本に対する愛国心が芽生え、将来は日本の国益につながるような職業に就くため、一橋大学に進学希望」という気持ちを心に帰国をしてから6年が経ちました。大学では企業経済学を中心に学び、アイスホッケー部で大切な仲間と居場所を得て最高の大学生活を過ごし、いざ日本のためにとの思いで就職して社会人2年目、ようやくスピード感にも目が慣れてきました。現在は、都市開発部という部署で、まちづくりや都市整備に関わる不動産デベロッパー等を中心に、金融面でサポートをするという仕事をしています。この仕事は、自分が携わった融資の結果として、ビルが建ったり、市街地が整備されていったりするのを目にすることができる「目に見える金融」であり、そこにやりがいや達成感を感じます。帰国当初から胸に抱いていた「日本のためになる仕事」の一端を担うことが出来ているという実感と共に、日々充実した社会人生活を送っています。

●2種類の帰国生
 私自身が帰国生であることに加え、大学時代に帰国チューターとして帰国生を見てきた経験から、帰国生は大きく分けて2つのタイプに分類されると思います。一つ目は、帰国後も日本という国をどこか外側から見つめ、海外志向を持って生活するタイプ。二つ目はその逆で、帰国後は海外での経験を元に、母国日本への愛着心が芽生えて日本人としての自覚と誇りを持って生活をするタイプ。どちらが正解・不正解というのはありませんが、私は後者です。それは、エジプト人(アラブ)、イスラエル人(ユダヤ)共に愛国心が強く、自分が国家の一員であることに誇りを持っていたことに起因します。彼らと接していて感じたのは、「果たして自分は彼らと同じくらい母国の国民であることに誇りを持っているか?」ということでした。そして、自分の日本に対する理解の甘さに気付き、海外生活を送りつつ、母国日本への気持ちが強くなっていきました。

●帰国生は特別?
 帰国生が特別だと思われる時代は既に終わりました。一昔前には「キコク」であることだけで特別視されていた時代があったのかもしれませんが、今はそうではありません。また、帰国生の特権であった、「英語がペラペラ」という特徴も、その存在感が薄れてきているように感じます。現に、私の周りには海外経験があって英語が堪能な人が大勢いますし、海外経験がないのにも拘らず私よりも英語が堪能な人がいます。このような状況において、帰国生としての存在感を示すためには、独自の海外経験を取り込んだ「自分色」を持つことが必要です。それが絶対的な語学能力なのか、あらゆる角度から物事を分析することが出来る視野なのか、様々な考え方が出来る柔軟な思考力なのか、それは十人十色です。ちなみに私の「自分色」は、一風変わった国に滞在し、独特の色彩を持った人たちと接することで得た、日本人としてのアイデンティティーと母国愛です。日本人であることに誇りを持つことが今の自分を形作っていて、私のすべての行動の原点となっています。それが現在の仕事の実績や辛い時の踏ん張りにもつながってきているという自覚があります。皆さんはあなただけの「自分色」を持っていますか?

●「自分色」の作り方
 どうしたら「自分色」を磨くことができるのでしょうか?簡単に述べると、@ベースになる色を決める、A重ね塗りをして風合いを出していく、ということです。@は、自分が素になれる居場所と仲間を見つけることです。自分のベース色が決まらないことには、刺激でいっぱいの海外生活に流されてしまうだけです。なるべく重ね塗りが効くような(=周りの意見が聞こえやすい)開放的な居場所と風通しの良い仲間を持ってください。次にAは、バラエティーに富んだ人達と積極的に接することです。せっかく海外生活を送っているので、この際、貪欲に好奇心を追い求めてください。ここでポイントなのが、なるべく同系色(=日本人コミュニティー)よりも、他系統の色を取り入れてみてください。この2点を頭の片隅において生活をすること、これが「自分色」の作り方です。

●海外滞在中の皆さんへ
 総括すると、帰国生は2種類に分類され、どちらに分類されたとしても「自分色」を持った帰国生にならないと存在感が認められない、ということです。そして、素の自分でいられる場所を見つけること、それでいて常に他のコミュニティーとのつながりを保ち続けることが、他にはない「自分色」を作り上げ、また、作り上げた後も他の色を混ぜて、さらに鮮やかな色に改善していくコツです。どこにでもいる帰国生にはならず、「自分色」を持った帰国生になることが、成功への近道です。皆さんのご活躍を期待しています。




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