ESSAY

今の海外生活が将来のあなたをつくる
−ガンバレ帰国生!−
          
カタール航空勤務
波多野 祥子さん
          
エジプトのカイロで9年間過ごし、帰国後は代ゼミ国際教育センターに通う。2007年横浜国立大学に入学、学生時代も代ゼミのチューターとして帰国受験に関わる。大学在学中に1年間アメリカに留学。卒業後は日本赤十字社に入社、現在はカタール航空の客室乗務員としてドーハ在住6年目。世界中を飛び回る一方、アフリカの孤児院でのボランティア活動を始める。
   


 私が代ゼミで帰国受験の勉強をしたのが約12年前。Time fliesと言う通り、月日が経つのは飛ぶようにあっという間です。私は普段飛行機に乗る仕事をしています。私が働いているカタール航空では約15,000人の客室乗務員がいて、国籍も約150ヶ国というとても国際的な職場です。毎回違う就航地に違うクルーとフライトをするため、お客様も同僚も国籍や年齢や宗教はそれぞれ。とても刺激的な毎日を過ごしています。例えば、インド行きのフライトではお客様のほとんどがベジタリアンだったり、イスラム教の断食月にあたるラマダン中にムスリムの同僚が断食をしている隣で食事をするのが申し訳なく思えたり…。こんな生活もストレスではなく楽しむことができているのも、高校時代をインターナショナルスクールで過ごした経験が多少なりとも影響しているのかなと思います。今になって思うのですが、高校時代に海外で過ごした貴重な経験は、気づかないうちに自己形成に大きな影響を与え、将来の仕事や生活に必ずプラスに働いていると実感しています。
 そんな元帰国生の私から現在海外で過ごしている皆さんに、帰国受験に向けて今どのような生活をしたらいいか、私自身の経験を踏まえて少しだけアドバイスさせていただきたいと思います。

●日本語の勉強を疎かにしない
 日本の大学に入ったら、授業やゼミなど学生生活のほとんどは日本語を使うことになります。そのため、多くの大学は帰国生入試に日本語の小論文や面接を取り入れています。これは、日本語による大学教育を不自由なく受けられるかどうかを大学側が見ているのだと思います。また少し先の話になりますが、日本の大学に進んだあと日本の企業に就職することになった場合、日本語が拙ければ仕事に支障がでるはずです。あなたが日本の大学で勉強したいと思っているのであれば、日本語の勉強を忘れないようにしてください。日本語より英語の方が得意な帰国生の知り合いが言っていました。彼女は社会人になってから、英語で書く書類は何も注意を受けないけれど、日本語の書類を書くと必ず文法を直されると。もちろん海外にいるうちに英語やその他の言語を学ぶことはとても重要なことです。しかし、日本語で小論文を書いたり面接をする練習は、帰国受験の時だけではなく、その後の生活にも必ず活きてくることを忘れずにいてほしいと思います。

●少し背伸びしてもいい
 私は代ゼミで帰国受験対策をする前まで、まさか国立大学に入れるとは思っていませんでした。しかし代ゼミで先生や先輩方の話を聞いていくうちに、センター試験を受けずに国立大学を受験できることを知り、受けてみようという気持ちになりました。実際に、入学してからセンター試験を受けて大変な受験戦争を乗り越えてきた友人達の話を聞くと、私は帰国枠を利用できて本当に有り難かったなと思いました。もちろん海外での生活や、帰国受験に向けた勉強は決して楽なものではありません。私もインターナショナルスクールで初めて英語での授業を受けた時はさっぱり内容が分からず、友達もできなくて辛いものでした。しかしその海外生活で培った経験はとても貴重で、今思うとその機会を与えてくれた両親に心から感謝しています。日本で過ごしている高校生とはまた別の大変さを味わっている皆さんには、是非帰国受験で少し背伸びをして自分の行きたい大学選びをしてほしいと思います。帰国受験では何が起こるか分かりません。上を目指して努力すれば必ずそれは報われて、合格を掴み取れるはずです。海外生活で苦労してきた皆さんなら、きっとその困難も乗り越えられると信じています。

●やりたい事はいつでも叶う
 今大学選びをしている方の中で、将来何をしたいか分からないから学部選びにつまずいている方もいるのではないでしょうか。今将来やりたい事を決めてそれが10年後どうなっているかなんて誰にも分かりません。私も帰国受験をする時は、ぼんやりと国際協力や開発援助に携わりたいと思っていました。これは高校時代を過ごしたエジプトで、貧富の差を目の当たりにした経験からそう思うようになりました。しかし12年経った今私は客室乗務員として空を飛んでいます。ですがやはり12年前に思い描いていた事は今でも心の中にあり、仕事で訪れたアフリカのナミビアの孤児院でボランティア活動を細々とですが始めました。空を飛ぶ仕事も楽しいですが、その傍らで昔からやりたかった国際協力を自分なりに始めることができ、今置かれている環境に本当に感謝しています。
 このような経験を経て思ったことは、本当にやりたい事はいつでもどんな形でもやる気があれば叶うということです。決して職業という形でなくても、大学を卒業してすぐでなくても、自分の心の中でやりたいと本気で思っている事は自分次第でどんな形でも必ず実現できます。もし今やりたい事が何か分からないという方も焦ることはありません。今この時期に将来の全てを決めなくてはいけないということはないのです。大学受験はそのことを考えるきっかけを与えてくれているのです。今あなたが海外で過ごしている貴重な経験はあなたの中に宿っていて、将来必ず活かされるはずです。今しかできない事を思いっきり楽しんで、海外でしかできない素晴らしい思い出をたくさん作ってきてください。
 日本に帰国し、受験となると不安なこともたくさんあると思います。しかし海外で言語も文化も違う環境を乗り越えて生活している皆さんであれば、受験の壁も努力して必ず乗り越えられるはずです。皆さんが、海外での思い出や経験をたくさん持ち帰って、大きく羽ばたいていってくれることを心から楽しみにしています。


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